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鎌倉さんぽ:石長の仕事_源頼朝の墓の修繕

創業400年の石長は、歴史上の人物や場所にまつわる「石」の仕事にたずさわってきました。鎌倉さんぽを楽しみながら、「石長」の歩みに気軽に触れていただければ幸いです。

さて、鎌倉といえば…源頼朝。頼朝の墓が「西御門」(にしみかど)にあるのをご存知でしょうか? 八幡宮から歩いて7、8分の場所にあります。市内の子どもたちだけでなく、県外からの子どもたちが社会科見学で訪れる場所としても広く知られているでしょう。その「頼朝の墓」の一部が2012年、何者かに破壊されました。石長がその「修復工事」を行いました。今ではそんな事件があったことさえ忘れてしまうくらい、元の通りの姿を取り戻しました。歴史上の人物の墓所や、寺、そしていくつかの学校が存在する、大変静かな西御門です。

鎌倉駅から「頼朝の墓」を経由して「鎌倉宮」や「荏柄天神」に向かうなら、若宮大路と辻説法通りの間の細い生活道路を経由して向かいましょう。クルマはめったに入ってきませんし、小さなお子さん連れの方には比較的安心です。この裏路地には黒塀が目印の大佛次郎茶亭がありますよ。〔鎌倉さんぽ〕をより内容濃く楽しめそうです。

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大佛次郎茶亭

大佛次郎茶亭

段葛と並行する辻説法通りの間の路地にある、作家「大佛次郎」(本名:野尻清彦)の茶亭。鎌倉文士が集う場所としても使用されていました。看板の猫のイラストからも分かるように大の猫好きとしても知られ、野良猫を含めて面倒をみた猫は500匹を下りません。また、一般市民と共に自然と歴史的環境を守る活動に力を入れ、昭和39年鎌倉風致保存会(日本最初のナショナルトラスト団体と言われています)設立のきっかけになる運動にも参加しました。

土日にカフェとして営業していましたが、諸般の事情から2019年に閉店となりました。現在は残念ながら一般公開されていません。高級住宅エリア雪の下に300坪もあるこの茶亭は、鎌倉市の景観重要建築物に指定されています。今後どのような運命を辿るのか?気になるところです。
大佛次郎は、愛した鎌倉の鎌倉五山のひとつ寿福寺のお墓に眠っています。

源頼朝の墓

鎌倉といえば…源頼朝。頼朝の墓は「西御門」(にしみかど)にあります。 頼朝公の墓は1779(安永8)年に薩摩藩の島津重豪によって建てられたました。八幡宮からは歩いて7~8分の場所にあります。市内の子どもたちだけでなく、社会科見学で訪れる場所としても有名です。児童公園が隣接した「白旗神社」のすぐそばにある、石段を上がった小高い場所にお墓はあります。

2012年2月、静かな住宅地の奥にある「頼朝の墓」が何者かによって破壊されました。180センチある五輪等の上部、約60センチほどの相輪が蹴り落とされました。犯人は頼朝の墓から400メートルほど離れた場所で逮捕されました。なんて罰当たりな話でしょう。それにしても何が目的だったのか?さっぱり分かりません。いつもの景色が故意に破壊される事件に地元住民のショックは大きいものでした。

この事件で損傷した「頼朝の墓」の修繕を任されたのが、石長の先代18代目の時です。壊された相輪は、鎌倉市が保管していた「鎌倉石(かまくらいし)」を使って修復されました。鎌倉市や藤沢市に分布する「鎌倉石」は、加工しやすい柔らかい砂岩です。現在は採掘されていませんので大変貴重な石と言えます。お寺の階段や壁に使用され、補修する際は同じ「鎌倉石」を補修し再び使います。また、不要になったからと廃棄することはなく、ふだたび必要とされる時まで、大切に保管するのです。古民家を解体する時に出る「鎌倉石」を、(修復用として)提供されることもあるそう。「鎌倉石」は幻の石と言われる所以はここにあります。最近よく耳にする「サスティナブル」・持続可能な…な取り組みのお手本のようではありませんか?石長が修繕した「頼朝の墓」は、地元住民はもちろん、日本中からの観光客にも永く“おもいと歴史”が受け継がれていくのだと考えますと目立たない仕事ではありますが、重みと責任を感じます。これは「石長」とその関係者が知る細かすぎるウラ話ですが、足を運ばれた際一番上の「相輪」をじっくりご覧になってみてください。

今日の「源頼朝の墓」は、修繕箇所は他の部分にすっかり馴染んで、何事もなかったように迎えてくれました。静かな場所で、お参りに来る人をどっしりと待っているよう。
「頼朝の墓」の近くには、お蕎麦、ソーセージやハム、お土産に適した焼き菓子、お茶のお供にぴったりの豆大福…など、地元住民に愛される美味しい、隠れた名店が点在しています。(入れ替わりが比較的忙しい鎌倉の中でこちらはどのお店もずっとそこにある、ということが〔愛される・美味しい〕証明です)平日は人もまばらで「三密」を避けて鎌倉さんぽを楽しめます。
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