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お墓の相続(承継)の流れ。誰が継ぐ?費用はかかる?

お墓の相続(承継)の流れ - 誰が継ぐ?費用はかかる?

お墓の相続(承継)の方法とルール、お墓相続の流れや承継者の選び方・費用を紹介。

お墓の名義人(使用権を取得している人)が亡くなると、残されたお墓は「祭祀財産」となり、相続する「祭祀承継者」を決定しなくてはなりません。
従来の家制度のもとでは「配偶者や子供がお墓を継ぐ」という考え方が一般的でした。しかし、少子化や核家族化が進んだ現在は、遠距離で管理がしにくい、子供がいないなどが理由で、一筋縄ではいかないケースも増えてきています。
どのようにお墓の承継をしたらよいか、相続の手続きや費用などを含めて総合的に解説します。

目次
▶ お墓の承継者はどう決める?
▶ お墓の継承には、霊園ごとの使用規則を必ず確認
▶ 祭祀承継者の役割
▶ お墓の承継方法
▶ 手数料の支払い
▶ 承継に伴うトラブルを避けるために

お墓の承継者はどう決める?

被相続人(財産を遺して亡くなられた方)の遺産のうち、仏壇・仏具、墓地、墓石など、祖先の祭祀に関係するものを「祭祀財産」といいます。祭祀財産は一般的な相続財産と異なり、基本的に1人の祭祀承継者に引き継がれます。複数の相続人の間で分割することはありません。
祭祀承継者は、これまで慣習として「長男や長女が継ぐもの」とされてきましたが、法律上はそうした決まりはありません。祭祀承継者の選ばれ方は、「被相続人の遺言、または生前に口頭や文書で指定していた者」、続いて「一族や地域の慣習」、それでも決まらない場合は「家庭裁判所の調停か審判」という優先順位に基づいて決定されます。したがって、他家に嫁いだ娘、姪や甥、直接血のつながりのない姻族、被相続人の親や兄弟姉妹でも承継することができます。

民法897条では、祭祀財産の承継者について以下のように定められています。
「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」
お墓の継承者はどう決める?

お墓の継承には、霊園ごとの使用規則を必ず確認

祭祀財産の承継者は、法的には誰でもなることができます。しかしお墓の場合、墓地や霊園の使用規約によって墓地使用権の承継に「原則として3親等まで」「原則として使用者の親族であること」などといった条件が設けられている場合もあります。
もし、遠縁の親戚や、内縁の妻、友人といった人を祭祀承継者に選ぶ場合には、決定する前にお墓がある墓地の使用規則を確認するか、墓地に直接問い合わせることをおすすめします。

また承継にあたって、墓地使用者(被相続人)の死亡を前提としている霊園もあります。生前の承継を希望する場合も、必ず事前に使用規則を確認しましょう。承継時に必要な書類なども霊園によって異なります。

祭祀承継者の役割

祭祀承継者の役割は、具体的に次の3つです。

(1)お墓の維持管理をする

命日やお彼岸、お盆などに親族がお参りできるよう、お墓を手入れして維持に努めます。霊園であれば維持管理費、寺院墓地であればお布施など、管理にまつわる費用を支払うのも祭祀承継者の役割です。

(2)法要を主宰する

一周忌や三回忌などの法要、盆や彼岸など先祖供養に関する行事を、親族を集めて主宰します。

(3)遺骨やお墓の所有権を持ち、その行方を決定する

遺骨やお墓の所有権は、祭祀承継者にあります。そのため、「すでに納骨した親の遺骨を分けて、兄弟それぞれの手元に置きたい」「お墓が遠方でなかなかお参りに行けないので、墓じまいをして都内の霊園に遺骨を移したい」といった分骨や改葬を希望する場合、祭祀承継者の同意がなくては行うことができません。

⇒参考:「お墓の移動・引越し・改葬に関する疑問をすっきり解決!」はこちら

お墓を継承する

お墓の承継方法

お墓を承継するにあたって、相続税がどのくらいかかるか不安を感じる人がいるかもしれません。しかし、お墓を含む祭祀財産は相続財産の対象ではありませんので、承継しても相続税を支払う必要はないのです。

祭祀承継者が決まったら、まずは承継する墓地の管理者や菩提寺に連絡し、名義変更手続きをしましょう。必要な書類は霊園によって異なりますので、注意が必要です。
墓地の承継に必要な書類の一般的な例は以下のとおりです。

・墓地使用権を取得した際に発行された書類(墓地使用許可証、永代使用承諾証など)
・承継の理由がわかる書類(墓地使用者の死亡が記載された戸籍謄本など)
・承継者の戸籍謄本や住民票
・承継者の実印と、印鑑登録証明書

また祭祀を主宰する者、または祭祀承継者であることを証明する書類が必要になる場合があります。
祭祀を主宰する者である証明としては、墓地使用者との関係が分かる戸籍謄本や、葬儀の領収書などがあります。
祭祀継承者と証明する書類は、遺言書や、親族の同意書、家庭裁判所の審判書などになります。

手数料の支払い

名義変更の手続きの際、必要書類と一緒に手数料の支払いも行います。手数料の金額は霊園によって異なりますが、だいたい1,500~5,000円と考えていいでしょう。

公営墓地

公営墓地の名義変更手数料は、数百円から数千円程度のところが多いようです。参考までに、東京都立霊園では手数料1,600円と、書類の郵送料として450円分の切手が必要です。

民営霊園

民営霊園の名義変更手数料は、霊園によって異なり、数千円から10,000円以上するところもあります。

寺院墓地

寺院墓地の場合は檀家としての立場も引き継ぐため、手数料に添えてお布施を包むことがあります。お布施の額はそれまでの寺院との付き合い方によっても違ってきますので、悩んだときはお寺に直接問い合わせましょう。

承継に伴うトラブルを避けるために

誰が最も祭祀承継者にふさわしいか、被相続人が元気なうちに家族で話し合っておくといいでしょう。
話し合いの際は、「お墓は長男が継ぐもの」「子供が継いでくれるはず」といった、過度な期待や思い込みを捨てることも大切です。家族・親族といったつながりが時代とともに変化しつつあることを意識し、遺骨やお墓を信頼して任せられる人を祭祀承継者に選びましょう。

また、近年は少子化に伴う承継者不足が深刻化しています。「どうしても承継者になる人がいない」「遠方に住む子供を承継者にして、お参りなどの負担をかけたくない」と考えている場合は、墓じまいやお墓の引越しを検討してもいいかもしれません。

⇒お墓の修理・リフォームについて詳しくはこちら

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